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●もみもみ用椅子の開発

椅子部のデザインの重要性はマッサージ効果を高める身体の

台座としての機能性と同時に平素、マッサージ機能を使用し

ないときにソファーとして充分使いこなせるものであること

が重要で、かって風呂屋の脱衣場にあったもみ玉剥き出しの

マッサージ機をイメージしていただければおわかりになると

思うが、そうした使用価値も十分提供できるものにしたいと

考えた。また、椅子デザインは結局、商品としての全体イメ

ージを決定づけるため、できるだけ高級感あふれるものにし

なければならない。

こうした要求に応え、かつローコストで利便性の高い椅子の開発は当然、従来の製品デザインを全く変える画期的なものとなる。こうしたさまざまな要求や条件を全て聞き届けて頂いて、先生に答えを出していただくまでしばらく、私はその答えがどのようなものになるのか見当もつかず不安で仕方がなかった。

それは先生に椅子の骨格はスチールのパイプで作ってくれと条件をつけていたからだったのだが、その考え方に対しては社内の技術最高責任者のK氏からお座敷にも置こうという椅子を鉄パイプで作るなど全く無神経極まりないときつい反対意見が出されていたからである。私はその意見を慎重にいろんな角度から検討してみたが、やはり鉄パイプ構造が最善の選択だという結論に達し、その指示を無視してデザインを進めてもらっていた。先生の作品如何では私は全く企画責任者として失格の烙印を押されるかも知れなかったのだ。

数日してそろそろデザインも完成した頃、私は先生に電話で様子を伺ったところ、形はできてきる、見に来ても良いとのことなので、すでに日は暮れていたが先生の事務所を訪ねた。

そこで見たものは実物大に作られたパイプと木芯の枕を使った椅子のモデルだった。その椅子は肘掛も何もないシンプルなパイプ剥き出しの背中のラインにそってカーブした背もたれと座、そして脚からなる椅子だったが、見事に私の全ての希望を満たす全く従来のマッサージ椅子の概念を変える椅子として見事にまとめられていた。

先生は実物モデルを作られた理由をこう話された。椅子で最も重要なのはモジュール(基準寸法)です。モジュールがこの椅子を使う人に如何にマッチしたものになっているかここの決め方を確認することは縮小モデルではできません。たしかにその通りだった。それと心配したパイプ椅子の貧弱さや冷たさが全く感じられないまとまりに仕上がっていたが、それはパイプの太さやカーブに秘密がある。違和感がないのは藤椅子のデザインをイメージしているから、そうおっしゃった。

私が工場に戻り、設計者にこうした椅子のデザイン要件をすべて忠実に満足したものにすることや、量産設計に関して、生産ラインでデザインをくずさないよう厳重に指示をしたことは勿論であるが、このときこの椅子作りの中心となる仕事を担当してくれたT工業(株)の先代の社長とははじめてこの商品開発で出会い、その後25年以上のお付き合いになるのである。その後先生にも毎週のように工場に来ていただき、設計、生産、販売とこの商品が生まれ、育ち、成人するまで手取り足取りご指導を頂いた。このご恩を未だに充分返せて居ないのが何よりも心残りである。


                          完成した「初代のモミモミ」・・このモデル機は

                          旧マッサージ椅子時代の何倍もの売り上げを挙げたが
                          「まだ半人前(商品)」とN社長に切って捨てられた。
                          この一言が意味するものを自問自答し、
                          遂にそれを一変させる大ヒット商品を
                          我々は生み出すことになる。
                          ※昼は工場の現場で、夜は我が家のリビングで
                          夜の更けるのも忘れて、設計仲間が集まって夜更けまで
                          ほんもののモミモミ開発に挑んだ頃が懐かしい。
                          この続編はメンバー登録の上、ご覧ください。
                          本項終わり

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