Bell-hs-Lab
●人間工学を徹底して追求
斯様にわれわれの新しいマッサージ機の開発は身体を揉み解すもみ玉のプロの指圧師の指の動きをシミュレーションする機構の開発により、従来の中途半端なあんま機と一線を画すものになったが、もう一つ従来と大きく異なる技術を採用することになったのはそれまで駆動モータを最下端に固定し、周囲を溝加工した駆動軸によってもみ玉を駆動、上下していた方式を改め、コンパクトにモータ、変速機、アームを一体化し、曲線的に自由にもみ玉が上下移動できる機構とし、椅子の背部を人体に沿ってS字状にカーブさせ、首部から腰までそれぞれの部位に加わる圧力を平均化させる機構を取り入れたことであった。
勿論この狙いは従来品の直線上下方式が持つ、部位によって加圧レベルが異なり、部位により最適な押し圧が得られない欠点を改め、人間工学的に肩から腰まで度の部位に対して平均して満足度を向上させるとともに、特に首、肩の前傾した部位や腰部での効き目を良くすることに主眼を置いたのである。
こうしてもみ機のユニットは開発構想がほぼまとまり、あとは椅子を如何にうまくまとめるかが残る大きな課題となった。椅子は座部。それに上下するもみ機本体を支える左右2本のレールと椅子として普段、利用させるための背もたれや枕部が構成要素である。
椅子部は木構造にクッション、縫製を組み合わせた家具調のものや、パイプ椅子式またはプラスチック成形なども方式としては考えられた。しかし、最もわれわれを悩ましていた大きな問題は競争でき、利益を生み出すための市場価格から導かれた目標原価を必達することであり、そのためには椅子部分のコストを高級感を損ねずに半減させることが至上命題となってのしかかってきたのである。
●インテリアデザイナー平井進氏との出会い
この高級感を損ねずに簡素な材料で100KGの人間が座っても大丈夫なもみ機の上下移動を可能にするもみ椅子の開発はそれまでシェーバーやドライヤーといった量産商品とは全く異質なデザインテーマであったため、社内デザイナーでは課題をこなしきれないと判断し、当時、全社あげての取り組みを展開していた住宅建材製品の開発指導のため定期的に来社されていた社外インテリアデザイナーの平井進先生に詳しく技術構想を話し、椅子作りの考え方や実際のデザイン制作、椅子の開発などを全面的にお願いすることにした。
先生はもともとファニチャーデザインから店舗デザインを広くこなしておられ、平井進生活デザイン研究所を設立され、生活者の心理、行動、体力、ばらつきなどを研究され、電工の社内事情にも詳しく、各面に実に豊かな経験と識見をお持ちになっていた。われわれは回を重ね、話し合って行くうちに、必ず先生の指導のもと、究極の商品が誕生し、ヒット商品が生まれることを確信するようになった。